
12月7日土曜日にNTTデータ通信株式会社会議室にて、第7回TRONイネーブルウェアシンポジウムが行われた。今年のテーマは、「大学キャンパスにおける障害者サポート」であった。
開会の挨拶/坂村 健(東京大学)
「東京都補装具研究所26年のあゆみ」/河村 洋(東京都補装具研究所)
河村氏は、東京都補装具研究所について、その創立の事情や活動内容につい て説明した。これまで開発した補装具の数々をスライドを交えて紹介し た。その中に、フロッピー装填装置、ゴルフやアーチェリー用の義手、 障害者用のリコーダーなど、ユニークな発明品もあった。氏は、来年か らの組織体制変更の影響を危惧していた。
「身体障害を持つ学生に対する大学におけるテクノロジーによる支援− カリフォルニア州立大学ノースリッジ校での取り組み−」
/小濱 洋央(東京大学理学部物理学教室)「カリフォルニア州立大学ノースリッジ校における障害者センターのプ ログラム」
/ハリー・マーフィー(カリフォルニア州立大学ノースリッジ校 障害セン ター)昼からは、カルフォルニア州立大学ノースリッジ校の障害者センターに ついて、小濱氏が説明した後に、Murphy博士が講演を行った。彼は障害 者が健常者と同じ環境で学ぶ事の利点を説き、具体的なサポート内容に ついて説明した。また、国際的なネットワークの構築を目的とする国際 会議や障害者組織の指導者を養成するプログラムについて話した。研究 室で開発された障害者用の機器を評価し普及させることの困難さと重 要性を強調していた。
「情報アクセスにおける図書館の役割」/河村 宏(東京大学総合図書館)
氏は、図書館のサービスにおけるガイダンスの必要性を解説し、それを 障害者向けに拡張すべきだという考えを示した。次に図書館の障害者対 策についての日本の実情を説明した。各図書館での経験が集約された 「障害者対策」という本を紹介した。視覚障害者向けに国際間開発され たデジタル録音図書システム「DAISY」を紹介した。図書館のサービス を行う時に国際的な視野を持つ重要性を説いた。
「大学のアクセシビリティ:社会科学分野を中心に」/石川 准(静岡県立大学国際関係学部)
アイデンティティ論の立場から、なぜ障害者が大学で差別される か説明を試みた。大学間で障害者サポートの開きが大きい事、機器の運 用や研修が軽んじられている事を問題としてとりあげ、情報提供や研修 を行う外部機関の必要性を訴えた。又、情報機器を使うこなす事自体が 目的となってしまう危険性を指摘した。障害者を受け入れる事は大学に も利益があることを強調していた。
「筑波技術短期大学(聴覚障害部)における障害者サポート」/長谷川 洋(筑波技術短期大学電子情報学科)
現状では一般の大学で障害者が学ぶこと の困難さを説明し、聾学校という選択肢の存在理由を訴えた。筑波技術 短期大学での学生のみならず教官への障害者サポートについて説明した。 いくら機械が進歩しても、教官が手話などコミュニケーション能力を持 つ事が大切だと説いた。
パネルセッション
司会:坂村健
パネリスト:Harry J. Murphy、河村 宏、石川 准、長谷川 洋
パネルセッションでは、まず今日の発表などへの感想を各々述べた後に、 坂村先生はこの状況を改善するために、アメリカのように法律を制定す るとどうだろうか、と問題提起した。Murphy博士はCSUNの活動は法律制 定の前からリーダーシップの基に行われていることを指摘した。また全 国レベルで影響を及ぼすには法律が必要だとの意見が示された。日本側 がアメリカと日本での大学に通う障害者数の格差を嘆くのに対しMurphy 博士は、それは昔のアメリカも同様であり段階が違う、単純比較はでき ない、重要なのはその段階において代替案を考えることだと説いた。