トロンシンポジウムリポート

TRONSHOW'96

12月4日(水)〜6日(金)


イメージ 第13回トロンプロジェクト国際シンポジウムは1996年12月4日から7日にわたって下記の通り開催された。

TRONSHOW'96

シンポジウムは12月4日の展示会TRONSHOW'96を皮切りにスタートした。トロン協会副会長 沖電気工業株式会社 常務取締役 須藤 悦次 氏、坂村プロジェクトリーダー、による挨拶のあと、恒例のテープカットで幕を開けた。

今年のTRONSHOWでは、各メーカーのブース、ITRON、BTRON、CTRON、HMIの各サブプロジェクトごとに今年の活動報告をするコーナー、障害者をコンピュータで助けるための技術であるイネーブルウェアに関する展示に加えて、特別展示として携帯情報端末(PDA; Personal Digital Assistant)とTRON多国語プロジェクトについての展示が行われた。 会場は熱気にあふれた盛況の3日間であった。特に、初日のシアタープログラムは昨年の倍の席数を用意したにもかかわらず、立ち見が出るほどであった。また、展示ホールがたくさんの人で埋め尽くされ、身動きがとれないこともしばしばであった。

展示概要

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沖電気工業
CTRON仕様リアルタイムOSとUNIXサブシステムを搭載した通信システム向けの高性能フォールトトレラントコンピュータOKITRON-LLとATM LANルータMA1000を展示・紹介した。


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三菱電機
TRON仕様32ビットマイクロプロセッサGmicro M32ファミリおよびμITRON仕様OS を紹介した。


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ハザマ
トロン電脳ビルのコンセプトを応用したトロン病院システムの紹介を行った。


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東京大学坂村研究室
BTRONメールアプリケーションとキオスク端末用ブラウザの展示を行った。


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松下通信工業株式会社
BTRONによるオーディオ・ビジュアル環境コントロールのデモンストレーションを行なった。


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セイコー電子工業株式会社
BTRON仕様OS搭載の携帯情報端末 BrainPad TiPOと、TiPOとPHS,携帯電話と組み合わせたモバイルコンピューティングを実演した。


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パーソナルメディア
DOS/Vマシンで動作するBTRON1仕様OSの最新版である「1B/V3」と、BrainPad TiPOに搭載されているPDA用μBTRON仕様に準拠したOS B-rightを紹介した。


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サン・マイクロシステムズ
ITRON for microSPARCの紹介を行った。


トロン協会
各種TRONプロジェクト関連資料の紹介を行なった。

IEEEコンピュータソサィエティ
IEEEの会員情報、サービス情報、出版物等の紹介を行なった。

イネーブルウェア展

イメージ トロンプロジェクトでは、障害者をサポートする機能が、その基本設計の段階から考慮されており、これをイネーブルウェア(EnableWare) 仕様という。イネーブルウェア仕様はトロンプロジェクトの目指している「どこでもコンピュータ」時代に、誰でもがコンピュータを使えるようにするために重要である。

東京都立立川養護学校
1B上で動く知的発達障害児のためのパソコン教材ソフト「認知発達に応じた教材集」のデモを行った。

矢崎総業株式会社
BTRON1仕様OS 1Bに音声合成ボードを用い、、視覚障害者をサポートするための画面読上げ、キーボードの音声フィードバック等のデモを行った。


BTRONとPDA

イメージ 最近、汎用的なオペレーティングシステムを搭載し、インターネット時代に対応できるネットワーク機能を持ったPDAに最近関心が高まっている。ITRONやBTRONは、携帯端末を実現する時の要求=小さくて、軽くて、使いやすいGUIをもち、しかも本格的なネットワーク対応=に応えるオペレーティングシステムということで、注目されていたが、いよいよ現実的なモデルが登場してきた。

この特別展示では、B-right と呼ばれるμBTRON仕様のオペレーティングシステムをベースに作られたPDA「BrainPad TiPO」を会場沢山配置し、実際に来場者に手に触れて試してもらった。


TRON多国語プロジェクト

イメージ トロンプロジェクトでは従来より、「誰でもが使える」コンピュータを目指している。コンピュータが私達の身の回りに入り込んでくる時代、コンピュータはあらゆる国の人々が使えるようになっていなければならない。

本展示では、このような観点から見た場合のUnicode や10646-1コードの問題点や、東京大学文学部と共同で進めている10万字の漢字コード体系の構築などを紹介した。



シアタープログラム

4日の初日に、TRONSHOWの展示と並行して行われたシアタープログラムは いずれも大盛況で、会場となったTEPIAホールの4Fの座席はすべて埋まり、 50名以上の立ち見も出ていた。

「TRON Project 1996」/坂村 健

「インフラストラクチャを創る」と題して、トロンプロジェク トリーダーである坂村 健 東京大学教授の講演が行われた。 氏は、これからのコンピュータサイエンスにとって、CPUやOSと いった基盤技術も重要ではあるが、もはや中心課題ではなく、 コンテンツ(Contents)の利用や作成に関することの方が中心で あると強く主張した。 日本はこうしたコンテンツに対する関心が明らかにアメリカなどに 比べて大きく立ち遅れており、その点が非常に問題であるとも訴えた。 それから、トロンプロジェクトの今年の活動状況と今後の予定に ついても触れた。

トロンプロジェクトのコンセプトの一つとして挙げられる、 仕様とインプリメントと分離について、 こうした方式は設計分散により信頼性の高いもの作り上げることが 可能であり、ネットワークシステム時代において、 ますますこうしたコンセプトが重要になると主張した。

インターネットの例を見れば明らかなように、 コンピュータサイエンスの歴史を振り返ると、 多くの技術は開発されてから普及しインフラとなるまでに 20数年以上の年月を要している。 日本も文化国家としてインフラ構築のための貢献を行う必要があるが、 トロンプロジェクトも日本オリジナルの技術として 地道な活動を継続していくことがインフラを創る上で重要である として、講演を締めくくった。


「手のひらBTRON電房具 登場」/パーソナルメディア

イメージ 最初にAT互換機用BTRON仕様OSの最新版、1B/V3を発表した。 1B/V3は、中国語、韓国語、点字をOSレベルでサポートした。 また、PCMCIAカード対応やMS変換機能が強化された。 次に、PDA向けに開発されたマイクロBTRON仕様準拠のOS B-right を発表した。

B-rightは、ペンでも操作できるようにHMIが工夫されている。 パーソナルメディアは電房具Tipoを個人向けに販売する。 97年の2月14日の出荷に向けて予約を開始した。


世界初BTRON仕様OS搭載携帯情報端末「BrainPad TiPO」について
/セイコー電子工業

イメージ TiPOについて、セイコー電子工業(SII)の携帯情報端末事業に おける課題を示し、その解決としてBTRONを採用した理由を 説明した。 TiPOは、SMTPやMIME、FTP、TCP/IP、PPPに対応しており単独で インターネットにアクセスする能力を持つ。 また、HTTP2.0に対応した独自のブラウザを搭載している。 SIIは、電子メールの活用から業務専用アプリケーションの 活用まで段階に分けて携帯端末を導入する方法を提唱する。 SIIは、WindowsCEに対しTiPOを企業向けPDAと位置付けて差別化 を計ってゆく。


パネルディスカッション「ネットワーク時代、日本語が危ない」

パネリスト:坂村健、吉目木晴彦、加藤弘一

イメージ 外字はネットワーク時代では使い物にならないとし、 インフラストラクチャとしての文字コードの重要性や、 日常生活で使わない漢字を切り捨ててしまうと、 多くの文学作品が電子化できなくなることが指摘された。 また、JISコード標準化の迷走ぶりが紹介され、漢字を制限しようと する動きに不満が示された。 そして、外字セットが特定の会社によって利権化されることを 懸念するとともに、この問題を多くの人に提起する必要性が 訴えられた。



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