くりてぃかるひっと!
(裏)ソードワールドリプレイ
第5話「魔薬の島」

 (裏)ソードワールド第5話……なのだが……

ベリアル :プレイヤーが休み。
ベリル :キャラクターシート忘れた。
タリム :前回の話で死んだ。
チャンドラー:上に同じ。

 てなわけで、今回は、シャカ以外は全て新キャラクターである。ま、これはキャンペーンというより、悪人たちを使った単発セッション集みたいなもんだと思えばいいか。
 ということで、まずは新しいキャラクターの紹介から。

ゼン

器用度:19 敏捷度:20 知力 :19
筋力 :11 生命力:11 精神力:15
冒険者レベル2(ソーサラー2、セージ1)

 人間、男、18歳。身長165cm、体重52kg。メルギスの魔術師学院で、魔術師の修業に励む真面目な青年……のふりをしている。
 彼の師匠はバーク導師。そう、ファラリス神殿のベリアルたちの上司である。ゼンもまた、バーク導師に従い、魔術を己が欲望のために利用せんと、日々修業に励んでいるのである。(名前は「ゼン(善)」のくせに(笑))

アーク

器用度:19 敏捷度:21 知力 :17
筋力 :14 生命力:20 精神力:18
冒険者レベル3(シーフ3、シャーマン1)

 人間、男。金さえもらえば、誰にでも雇われ、どんな仕事でもする。しかも名前が「アーク(悪)」(笑)。高い能力値を生かして、裏世界で名を高めようと日々勤しむ。
 しかし、今回は、色々わけあって所持金が0。これじゃどうしようもないので、シーフギルドに雇ってもらったのである。
 ちなみに、ゼンとアークは、プレイヤーたちが狙って付けた名前です。

ボリル

器用度:15 敏捷度:12 知力 :14
筋力 :18 生命力:26 精神力:28
冒険者レベル3(ファイター3、プリースト2(ファラリス))

 ドワーフ。名前を見ての通り、ベリルの弟である。他にも、バリルとかブリルとかいう兄弟がいるとかいないとか……。
 今回は、教団の麻薬取り扱い部門責任者ベリアルの補佐となって忙しい兄に代わって登場。(本当は、プレイヤーがキャラクターシートを忘れたので、新しいキャラクターを作っただけだけど(笑))

ザイン

器用度:16 敏捷度:11 知力 :13
筋力 :17 生命力:14 精神力:17
冒険者レベル3(ファイター3、シーフ1、プリースト2(ファラリス))

 人間、男。ファラリス神殿所属の神官戦士。
 新キャラクターは3人のはずなのに、なぜ4人目のデータがあるのか……。それは、リプレイを読めば、すぐに分かります。


警備

GM キャラクターも出来上がったようだし、それでは、今回のセッションを始めよう。
 さて、いきなりなんだが、ゼンとアークは金がない。そこに丁度、シーフギルドから仕事がまわってきたので、雇ってもらうことにした。

アーク そ、そんなぁ。

ボリルの茶々 嘆くほどのことではあるまい。

GM でも、そのキャラクターシートの「所持金0」というのは、そのままにしておけないだろう。引き受けるよな?

アーク まあ、せっかく仕事をくれると言うんだ。断るのも悪いだろう。

ゼン それで、どんな仕事なんだい?

GM 今夜、倉庫街で、シーフギルドとファラリス神殿の間の、麻薬取り引きが行われる。その商談の間の周囲の見張りだ。君たちの他にも、何人も雇われている。

ゼン 麻薬ですか。いけないことですねぇ(笑)。

アーク 悪人のくせに、何を白々しいことを(笑)。

GM そして、シャカとボリルは、ファラリス神殿のベリアルから招集がかかり、倉庫の中で護衛をすることになっている。そちらは、もうちょっと後に登場してもらうことになる。
 まずは、アークとゼンの顔合わせだな。見張りは二人一組でやってもらうことになる。そして、君たち二人が組になるように指示されるから。

ゼン あ、どうもよろしくお願いします。

アーク (声をかけられたら、無言で顔を反らす)

GM 無視するわけね。

ゼン 別に、気にしないけどね。

アーク それで、どこの見張りをすればいいんだ?

GM 裏通りにある怪しい酒場に一度集まり、そして夜中近くになって、現場へと移動する。
 君たち二人は、倉庫街の、とある細い通りの見張りを命じられる。怪しい者を発見したら、その場で始末するか、あるいは一人を見張りに残してもう一人が取り引きが行われている倉庫に連絡するように指示される。
 ここ数日、メルギスでは熱帯夜が続いている。今夜も、既に夜中近くだというのに、町は蒸し暑い空気に包まれたままだ。君たちが見張りを命じられた場所は、倉庫と倉庫の間の細い路地で、空気はぴくりとも動かない。

ゼン なんか、暑いことを強調しているような……。

シャカの茶々 暑さで、倉庫の中の麻薬が自然発火するとか(笑)。

ボリルの茶々 麻薬が気化してみんな吸い込むとか(笑)。

GM いくらなんでも、それはないってば。

ゼン しっかし……暑いですねぇ……。

アーク (無視)

ゼン ……ま、いいけどね。団扇でぱたぱた扇ぎながら、見張りをしてます。

GM それでも、汗はたらたら流れ出してくる。倉庫一つ挟んだ向こう側は川になっているから、そこまで行けば、川面を渡る風のおかげで、ちょっとは涼めるのだろうけれどね。残念ながら君たちの持ち場からは、ちょっと離れすぎている。

ゼン なんか、涼しくなる呪文とか無かったかなぁ……。

GM 2レベル古代語魔法には、そんなものはない。

アーク …………暑い。……そうだ……精霊魔法でシルフを操れば……。

GM 同じく、1レベルシャーマンでは無理だな(笑)。

ゼン そうなんだよなぁ。ファイアー・ウエポンだと、よけいに暑くなるだけだし(笑)。

アーク こんな所で、見張りなんてやってられるかぁーっ! って叫びたいところだが、そうも言ってられないので、我慢して見張りを続けよう。(一同笑)

GM という具合いに、見張りを続けているのだが、ここで二人に知力判定をしてもらおう。

ゼン 知力判定? (ころころ)ええっと、8です。

アーク 俺は12だ。

GM では、気付いたのはアークだけだな。通りの向こうの方から、何者かが近付いてきたのに気付く。

アーク ん? 人が来たようだ。

ゼン 人? どこです?

アーク 向こうだ。

ゼン どれどれ……どんな感じです?

GM 夜中だしなぁ……ゼンは夜目が利かないんじゃないかな。シーフのアークは鍛えられていそうだけど。

アーク シーフで、しかもシャーマン技能も持っているからな。一体、どういった奴だ?

GM 君たちが気付いてそちらを見ると、手を振ってくる。「よう、今夜も暑いな」

アーク 誰だ?

GM 君たちと一緒に、今夜の見張りに雇われた、シーフその1だよ。ここに来る前に集まった酒場では、一緒に酒を飲んだ。

ゼン なんだ。それで、何かあったんですか?

GM 「いやぁ、こんなに暑くちゃ、真面目に見張りなんてやってられないよ」

ゼン ま、たしかに(笑)。

GM 「それで、せっかく二人一組で見張りをしているんだからな。交代で川まで涼みに行こうってことになったのさ。なぁに、ちょっとくらいサボったってバレやしないよ。それに、ちゃんと一人は見張りがいるわけだしな。
 どうだ、お前らも、一緒に来ないか?」

アーク いいや、俺は結構だ。

ゼン あ、そうですか? それじゃ俺は涼みに行ってきます。(一同笑)

GM では、シーフその1とゼンは、川辺に涼みに行ってしまった。

ゼン ちょっと涼んだら、すぐに戻ってきますよ。それまで、見張り、しっかりお願いします(笑)。

GM これまで風も吹かない裏路地で見張っていたから、川面を渡ってくる風が、やたらに気持ちいい。汗も、すーっと引いていくようだ。

ゼン 5分くらい涼んだら、戻ります。

アーク ……そうだ、屋根に上がれば、風が通って涼しいかも。それに、そこなら見張りもしっかり出来るしな。

GM では、一応落ちなかったかどうか、シーフ技能で判定しようか。足場もいっぱいあるし、シーフだし、1ゾロじゃなければよしとしよう。

アーク 当然成功。

GM 屋根に上った。思った通り、屋根の上は風が通って涼しい。と、その時である。知力判定をどうぞ。

アーク 今度は何だ? (ころころ)13。

GM ふと気付くと、二つほど向こうの倉庫の屋根の上にも、人影を見付けた。ただし、君のように涼むために上ったというわけではなさそうだ。
 背を丸めて体を低くし、足音を消して屋根の上を走る。そして、隣の倉庫へと跳び移る。

アーク 今度こそ、曲者か? そいつが跳び越えた路地には、見張りはいたのかな?

GM いるはずだ。そのうちの一人は、さっきゼンと一緒に河に行っちゃったけどね。

アーク そうか。このまま行かせるわけにも行かないな。よし、シェードを叩き付けてやるぞ! (ころころ)調子がいい、15だ。(←後で気付いたのだが、こいつ、シャーマン1レベルのくせにシェードを使いやがった)

GM 抵抗は成功。

アーク これで抵抗? それじゃほとんど効かないなぁ。4ダメージ。

GM そうだね。そして、攻撃されれば、当然気付く。アークに気付いた曲者は、ものすごい勢いで、屋根を跳んでアークに向かってくる。

アーク それじゃ俺は、ものすごい速さで……

ゼンの茶々 屋根から飛び下りる?(一同笑)

アーク そう。それから、他の見張りがいるところに走る。

GM 敏捷度はいくつだったっけ?

アーク 21だ。

GM 速いなぁ。それでは、やはり屋根から飛び下りて追ってきた影は、少しずつ引き離されて行く。そして、君は、隣で見張っていた男のところまでやってきた。一人サボっている、あそこだ。
 「おい、どうかしたのか?」

アーク 出たぞ! 賊が出た!

一同 賊?

GM 「お前なぁ、賊なら、そこらじゅうにいるだろう。麻薬取り引きの現場の警護で、シーフギルドが雇った連中があちこちにいるんだから(笑)」

アーク 冗談を言ってるんじゃないんだ! 怪しい奴がいたんだよ!

ゼンの茶々 怪しい奴らも、そこらじゅうに一杯いる(笑)。

GM と、その次の瞬間。屋根の上から、黒い影が降ってくる。

アーク げげっ!? ええっと……目の前の奴を盾にする!(一同笑)

GM 「な、なにぃ!?」(ころころっと、命中と回避の判定をして)「ザシュッ!」「グワーァッ!?」 ええっと、ダメージなんだが……レート表の24を見てくれない?

ゼン 24!?

GM (ころころ)まず10でクリティカルして、(ころころ)次が6。

ゼン 合計13ダメージ。

GM それに追加ダメージを足して……あ、こいつは死んだな。

アーク その間に、俺は当然すたこらさっさと、川の方に逃げるぞ(笑)。

GM 今の悲鳴は当然まわりじゅうに聞こえ、他の見張りたちも異常に気付く。川でサボっているゼンたちも、気付いていい。

ゼン あれ? 今、何か聞こえましたね。行ってみましょうか?

GM 「ん? どうせ、臆病者が、何かに驚いて悲鳴でも上げたんだろう。放っておけよ。ああ、涼しい涼しい(笑)」

ゼン でも、一応見に行ってみる。

GM すぐに、アークが走ってくるのが見える。

ゼン 何かあったんですか?

アーク どうやら、「奴」が来たようだ。(一同笑)

ゼン 「奴」って、誰のことです?

アーク 「怪しい奴だよ。こっちだ、ついて来い」と言って、さっき見張りが殺られたところまで連れて行く。

ゼン ありゃりゃ、これは、もう、駄目ですね。(一同笑)

アーク そんなもの、見れば分かる!

ゼン 仕方ないから、まずは金目のものを身ぐるみはいでから……。(一同笑)

アーク なんだと!? それなら、俺もそいつの懐を調べるぞ。

シャカの茶々 二人とも、もっと他にやることがあるだろうに(笑)。

GM はいはい、懐から50ガメルほど見付けたよ。

ゼン それは、山分けな。

アーク まあ、よかろう。

ゼン しかし、一体何があったんですか?

アーク 分からん。悲鳴が聞こえたので、まずお前を呼びに走ったからな。(←嘘つき)

ゼン しかし……これは……やっぱり、倉庫に知らせに行った方がいいんでしょうかね?

アーク そうだな。すでに、さっきの悲鳴で騒ぎにはなっているようだが、一応、知らせに行った方がいいだろうな。……正面からばっさりか。かなりの腕の立つ奴の仕業だな。


 こんなんじゃ、ほとんど見張りの役に立っていないような気もするが、一応仕事をしているふりはしようということで、アークとゼンは、麻薬の取り引きが行われている倉庫へと向かった。
 もちろん、こんなにのんびりしていたのでは、間に合うわけもなく、すでに倉庫は襲撃を受けていたのであった。


GM お待たせしました。シャカとボリルの出番です。君たちは、ファラリス神殿麻薬取扱部門責任者ベリアルの指示により、今夜は、取り引き現場での警護をすることになっている。
 それで、数人の幹部と共に、その倉庫の中にいるのだが、ふと、外が騒がしくなったのに気付いた。

シャカ 何だ? 取り引きは、まだ終わっていないよね?

GM まだまだ、これからだよ。

ボリル 様子を見に行った方がいいんじゃないか?

シャカ そうだな。それじゃ、俺はちょっと外に出て、様子を見てくる。

ボリル そっちは任せたぞ。

GM では、シャカが倉庫から外に出た途端、倉庫の屋根から何者かが降ってくる。そして、そのままシャカに切り付けて(ころころ)12。

シャカ い、いきなり? (ころころ)回避失敗。レート24でダメージが来るんだよなぁ……。

GM はい、15ダメージです。もちろん、鎧や冒険者レベルでの防御は可能。

シャカ 8止めて、7ダメージか。これでもう、生命点が半分だよ〜ぉ。叫び声を上げて、中に知らせよう。

GM もちろん倉庫の中の人間はそれに気付く。「な、何者だ!?」「ボスを守れっ!」「なにをぼさっとしているの、あなたたちで、そいつを何とかするのよ!」

ボリル どういう奴?

GM 身長が2メートルちょっと、筋肉が膨れ上がっているし、目付きも怪しいけれど、一応、人間のようだ。手に持っている、その筋力に見合うだけの大きな刀は、すでに血に染まっている。鎧は着けていないで、上半身は裸だ。屋根から飛び下りて平気だったところを見ると、見掛けによらず、かなり身は軽いみたいだね。
 そいつは、今ダメージを与えたシャカのことなど振り向きもせず、そのまま倉庫の中に突っ込んでくる。そこには、ファラリス神殿やシーフギルドの幹部連中がいるので、ちゃんと守ること。

シャカ 痛い、痛いが……気を取り直して、刀を抜いて後を追おう。

ボリル アックスを構えて迎え討つ。

GM アークには負けたけれど、こいつの敏捷度は19もあるんだ。ということで、先に攻撃させてもらって(ころころ)12は?

ボリル よけたぞ。反撃だ!

GM どうぞ。ああ、ボリルは攻撃して構わないけれど、シャカは次のターンからね。


 倉庫の中には、シャカとボリル以外の用心棒もいるのだが、それぞれ自分のボスの護衛に張り付いているため、こいつの相手は、シャカとボリルの二人ですることになっている。
 さて、筋肉隆々で、攻撃が命中するとかなり痛いはずなのだが、それは防御には関係ない。鎧を着ていないこともあり、こちらの攻撃も、当てるだけでかなりの有効打になるのだ。
 しかも、これまでの攻撃が調子良かった反動か、回避に失敗し続け、あっというまに、生命力がマイナスに……。でも、それも予定の内である。


シャカ 11ダメージ!

GM さすが、鎧がないと早いな。それで生命点がマイナスだ。「グガヌゥヴヲガァーッ!」 ずごーぉん!

シャカ ずごーぉん!?

ボリル ずごーぉんって……爆発したのか?

GM 似たようなもんだな。ダメージレート30の衝撃波だ。まずは精神力抵抗。目標値は13。

一同 レート30!?

アークの茶々 き、厳しすぎるぞ。

GM 抵抗成功すれば、レート20だよ。それに、呪文と違って、鎧で防御していい。

シャカ 抵抗は、全然足りない。

ボリル 失敗。

GM では、誰かレート表見ていてね。まずは(ころころ)ありゃ、10でクリティカルしちゃったよ。

ゼンの茶々 まずは10ダメージ。

GM (ころころ)今度は12だって(笑)。それから(ころころ)7ね。

ゼンの茶々 ダメージは10に7で、合計27ダメージ!?

アークの茶々 その二人、いきなり死んでないか?

ボリル 鎧で防御出来るんだったな。ふぅ、何とか生きてるぞ。

シャカ こっちは生命力-10(笑)。生死判定で12振らないと駄目だ。(ころころ)死にました。

GM ありゃりゃ、いきなり一人殺しちゃったか。ま、「裏」だからしょうがないよな。それじゃシャカは、新しいキャラクターを作っておいてくれ。

シャカの屍 うひゃぁ……最初にダメージを食らってなければ、助かったかも知れないのに……。

GM こっちも、いきなり2連続クリティカルするとは思わなかったぞ。しかし……これで、今回のシナリオは、全員新キャラクターってことになるのか。

ボリル それで、その爆発した奴は生きてるのか?

GM 一応……ね。そして、何とか片付いたところで、アークとゼンが駆け込んでくる。

ゼン ああ、え、ええっと……こ、これは一体……?

GM 「あなたたち、何か用?」

ゼン あ、その、叫び声が聞こえて、そこに行ってみると、見張りが一人殺られてました。それで、急いでここに知らせようと思って走ってきたのですが……。

GM 「遅い、遅すぎる! ちゃんと見張りをやってたの!?」

アーク 見張りが殺られているのを確認して、すぐにここに向かったんだ。これ以上、どうしようもない。

ボリル 見張りは二人一組のはず。一人殺られていたなら、そいつのペアは何をしていたんだ?

アーク サボって、川に涼みに行っていたぞ。そこの、ゼンも一緒だ(笑)。

GM ほ、本当に、そう言うわけ?

アーク もちろん。

GM 「……そう、サボっていて、挙げ句がこの騒ぎね。……今日の仕事料は……なしね」

ゼン そ、そんなぁ!

アーク なんで俺まで!?

GM 「……命があるだけ、幸せだと思いなさい」

ゼン は、はい……。


 この襲撃のせいで、今日の取り引きは中止となった。
 町の警備隊に嗅ぎ回られるわけにはいかないので、殺された見張りの死体や血の跡はきれいに片付けられた。シャカの骸も、密かにファラリス神殿に運びこみ、すぐに葬儀を済ませてしまう。シャカの持っていた金や品物や装備は、ファラリス神殿に収められた。
 ということで、死んでしまったシャカの代わりは、新キャラ、ザインが引き継ぐことになったのである。


聞き込み

GM その数日後。ザインとボリルは、君たちの上司である、ベリアルとかベリルとかに呼び出された。
 「ボリル、先日は大変だったな。シャカも、あのようなところで殺られてしまうとは……」

アークの茶々 ところで、ベリルとボリルの関係は?

ボリル 兄弟だよ。でも、俺は兄貴よりも頑丈なんだ。

GM 君たちを呼び出したのは、他でもない。先日の襲撃事件の黒幕の調査を命じるためだ。


 あの、襲撃を仕掛けてきた大男。まだ生きていたので、そいつの回復を待って、拷問して口を割らせようと思っていたのだが、残念ながら、既に精神の方があちゃらかぱーになっていた。しかし、ファラリス神殿とシーフギルドで手分けをして捜査を行ったところ、捜査線上に、一つの組織が浮かび上がってきた。
 実はその組織、最近、メルギスのシーフギルドに、新種の麻薬の売り込みを始めた連中である。その組織は、他の町のシーフギルドやファラリス神殿にも浸透しようとしているらしいが、そのうちの数ヶ所で、やはり、先日のような大男の襲撃を受けたところがあるようだ。
 その大男が、その組織の手の者だという証拠はない。だが、限り無く黒に近いというのも事実だ。そこで、ファラリス神殿とシーフギルドから、捜査員を送り込むことにした。


GM 表向きは、メルギスのシーフギルドの麻薬担当の長が、その組織との商談のために相手の拠点の町を訪ねる、その護衛という扱いだ。そして、ファラリス神殿からは君たち二人を送り込む。
 シーフギルドからは、その幹部と、もう一度チャンスをやろうということで(一同笑)、アークとゼンが派遣されることになっている。

ゼン あの、チャンスって……?

GM この前の失態を取り戻せってことだよ。君の命があるのは、君がバーク導師の弟子だから、多目に見てやろうっていうだけだからね。仕事をサボった挙げ句にあの騒ぎ、本当なら、今頃裏の川に浮いている頃だよ。

アーク 俺は、その巻き添えか!?

ゼン そもそも、あの程度で命を取られなきゃならないのか!? そりゃ、クビにはなるだろうけど……。

GM まあ、そういう組織だしね……。本気で殺すつもりかどうかは知らないが、少なくとも、そういう脅しはかけてくる。

ボリル 仕事の最中、わざとサボりに行ったという可能性もあるからな。疑わしい奴は処分しておく方がいい。相手とつながっているなら、連れていけばボロも出すだろうし、それはそれで利用価値があるということかな。

ゼン なるほど、そいう意図もあるのか。仕方がない、殺されたらたまらないから、従いますよ。

GM 実は、単に魔術師が一人欲しかったのだけど、人手が足りなかったというだけなんだけどね(笑)。バーク導師に相談にいったら、こいつの修業にもなるから連れて行けと言われたのだ。もちろん、そんなことは君たちには話さない。
 では、シーフギルドの幹部、麻薬販売部長であるマリ=フェルスと、君たち四人で、問題の組織の拠点である町へと向かうことにしよう。

アーク 販売部長のマリさん? ひょっとして、女の子?

GM おばさんだよ。

アーク なぁーんだ……。(一同笑)

GM 目的地は、メルギスから10日程のところにある港町だ。それから、パイルという名前の、その組織の案内人が一人ついてくるから、道中何か話したいことがあればどうぞ。

ザイン 何かって?

ボリル さりげなく情報を引き出すとか、かまをかけるとかいう事だろう。

アーク ええっと、それじゃ、商売の方はどうですかと聞いてみよう。

GM 「いやあ、最近は、取り引き先の組織の数も増えましてな。この調子なら、売り上げ前年比50パーセント増も目前ですわ。どうですやろ? あなたたちのギルドも、ファラリス神殿だけやなしに、うちらからもっと買ぅてくれはりまへんか? もし、取り扱い量を倍にしてくれはるんやったら、お代の方は、二割引きにしまっせ」

アーク い、いや、俺にそう言われてもな……。それに、ファラリス神殿の麻薬も、結構いい品だし(笑)。

ゼン ……ええっと、賛同するのはやめておこう。それじゃまるで、俺がヤクをやってるみたいじゃないか(笑)。

ボリル 本当の悪人は、そういうことはやらないもんだ。金儲けの手段には使うがな。

ゼン しかし、あういう口調で営業やられるとな(笑)。

ザイン 「新製品、絶賛発売中!」っていうノリだな。(一同笑)


 情報引き出しにも、かまかけにもなってないでやんの。
 そんなこんなで旅は進み、やがて目的の港町へと到着した。相手組織の本部は、港の見える、とある大きな建物。建物の前は、始終大勢の人々が行き交い、日当たりも良く、とても悪の組織の本部とは思えないほどの、健康的な建物である。
 表向きの用事である、麻薬取り引きの商談は、三階の部屋で行われた。マリと相手の営業部長(と言うんだろうか?)の会談も、何の問題もなく無事に終わる。ただ、より詳細に取り引き条件を煮詰めるために、もう数日ここに滞在するように話を持っていった。その間に、この組織と、先日の襲撃事件との関連を探るのである。


GM この建物は、表向きは、まともな貿易商人の館ということになっている。滞在中は、この建物の中に、それぞれ一部屋ずつ部屋が割り当てられて、そこを自由に使って良いといわれる。もちろん食事付きで、外出も自由だ。

ボリル この町は、いわば、その組織のお膝元なんだよな。

GM そうだね。

ボリル まずは、この町の麻薬の売人でも探して、組織に関しての情報を集めてみるか。たとえ相手にバレたとしても、取り引き相手の評判を探るくらい、許してもらえるだろうしな。

アーク 売人以外でも、情報が得られるかも知れないからな。怪しまれない程度に、色々聞き込んでおこう。

ザイン そうだな。それじゃ、町に散ってそれぞれ探してみるか。

GM では、まずは知力で、売人とかが見付けられたかどうかの判定だ。目標は12で、冒険者レベルのボーナスを足していい。

ゼン 失敗。

アーク&ザイン&ボリル 成功。

GM 魔術師学院のお坊ちゃま以外は成功か。

ゼン だれが!?

GM それじゃ、世間知らず?

ゼン それも何だかなぁ……。

GM では、この前サボっていた奴以外は成功。

ゼン それは、文句の言い様がない(笑)。

GM 成功した人は、それぞれダイスを一つ振って、どういう情報が得られるかを決めてもらおう。順番にどうぞ。

ボリル 4だ。

GM 麻薬の売人を見付け、扱っている麻薬を見せてもらった。だいたい、メルギスでも見られる種類の物だけれど、何種類か、見たこともない種類の物が混ざっているようだ。新種かな?

ボリル 品質の方は?

ゼンの茶々 品質って……麻薬の品質って、何だ?

アークの茶々 精製の度合いがいいとか、そういう事じゃないのかな?

GM どうなんだろう? でも、密売人は売るのが仕事だから、「いい」としか言い様がないよな(笑)。

ザインの茶々 でも、ほら、よく刑事物とかで、ペロってなめてみて、「高純度のヘロインだ」とかやってるじゃない(笑)。

GM では、セージ技能判定で成功したらね。

ボリル ……そんな技能、持ってないぞ。一つ買って帰って、ゼンにでも鑑定してもらうか。経費で落ちる?

GM そんなもん、ないってば。自腹を切れ、自腹を。

ボリル しかたないなぁ……。それより、普通の麻薬じゃなくて、何か変わった効果のある薬を扱っていないか、尋ねてみるぞ。

GM この売人は扱ってないが、飲むだけで強くなれるという薬があるらしい。取り扱い量はかなり少なくて、本当に、組織に認められた者しか、手に入れることは出来ないそうだ。

ボリル それか? 強くなるって、具体的にはどうなるんだ?

GM 良く知らない。噂では、あっと言う間に筋肉隆々になって、素早さも上がる。より大きなダメージにも耐えられるようになる。もっとも、噂だから、どこまで本当か分からないと言っているけどね。

ゼンの茶々 ようするに、エンジェル・ダストね。(←これ、元ネタが分からない人も多いだろうな)

ボリル その薬、どこに行けば手に入る?

GM さてね。さっきも言ったけれど、組織に認められた奴にしか与えられないそうだからね。それも、噂だけだから、本当にあるのかどうかもわからないし。
 「それで、何か買っていくかね?」

ボリル 今回は、やめておこう。

アーク うぅむ……買おうと思っても、所持金が25ガメルじゃなぁ……。って、そう言えば、この前の見張りの報酬はどうなったんだ?

GM ヘマをしたから、0だって。

アーク 俺のせいじゃないぞ!

GM 共同責任。(一同笑)

ザイン 連座制か(笑)。

ゼン (笑笑、笑笑笑、笑笑笑笑笑)(←笑い転げている)

アーク 誰のせいだと思っているんだ! こ、こいつ、許せん!


 どっちにしても、アークはその場にいないから、たとえ金があったとしても、この売人から薬を買うことは出来ないけど。
 そのアークだが、彼は、港にいた。どこかで見た覚えのある男が、入港しているとある船の甲板の上で、船室から出てきた男と話しているのを発見したので、そいつの様子をうかがっていたのである。


アーク どこで見たって?

GM 麻薬取り引きの商談をしている時に、相手の責任者の後ろに控えていた男だ。相手は、その船の船長かな?

アーク 何を話しているんだろう。ええっと、ウインドボイス。

GM 「原料はすでに、いつもの倉庫に運び込んである。運搬の手配も済んだ。明日積み込んで、明後日には出航してくれ」「そうですか。そちらはいつもどおり、そちらにお任せしましたぜ」
 それから船長は、ドリンク剤が数本入るくらいの小さな箱を手渡す。「これが、今回精製出来たぶんです」「ふん、あれだけの原料で、これっぽっちとはな」「そりゃ、仕方ないですよ。そういう薬なんだから」

アーク 薬の受け渡しだな。精製工場は、別のところにあるらしいな。

GM それで、どうするかね?

アーク 明日運び込みだと言っていたな。それだけ分かれば十分だ。下手して見付かるとヤバイから、この場は離れよう。

GM (あらら、尾行はしないのか。それなら仕方ないな。) 最後はザインか。情報は6番だと言っていたよね。それなら、町で色々聞き込みをしていたところ、最近、行方不明者が数人、立て続けに出たそうだ。

ザイン それは、一体どういった人たち? 子供とか、女性とか?

GM なんでも、体を鍛えている人たちだそうで。(一同笑)

ゼンの茶々 それ、ビンゴ?

ザイン ええっと、鍛えているというのは、具体的には?

GM 筋力が高いということだね。港の荷役をしていた人もいれば、たまたま町に立ち寄った冒険者の戦士もいる。単に、趣味やスポーツとして、体を鍛えていた人もいる。そういった人が行方不明になるという事件が頻発しているそうだ。

ゼンの茶々 ようするに、ボディービルダーとか、筋肉ダルマのファイターとか……

アークの茶々 兄貴とか、兄貴とか、兄貴とか。(一同笑)

ザイン それで、その人たちがいなくなった時の状況とかで、何か捜査は進んでいるのかな?

ボリルの茶々 最近いなくなった人の家族とか、訪ねてみれば?

ザイン そうしてみよう。

GM では、あちこち聞き込みをして、息子が先週行方不明になったという家を見付けることが出来た。

ザイン コンコン。

GM 「はい……。何かご用ですか?」

ザイン お宅の息子さんに関して、いくつかお伺いしたいことがあるのですが……。

GM 「そういうことでしたら、全て、町の警備隊に話してあります」

ザイン あ、ちょっと、そんなに時間は取らせませんから。私も行方不明者の探索をしていて、色々情報を集めているんですよ。その、いなくなる前に、兆候とか、そういったものは無かったのですか?

GM 「いえ、別に……。朝、仕事に出て、それっきりです」

ザイン それより、もっと前には? 悩んでいるようだったとか、脅えているようだったとか……

GM 「……そうですね……行方不明になる一月ほど前から、金使いが荒くりました。その分、仕事を増やして稼いでいましたけど……」

ボリルの茶々 「俺は、これで人間をやめるぞーっ!」とか言ってませんでした?(一同笑)

ゼンの茶々 「俺、今以上に強くなるんだ!」とか(笑)。

GM 言わん言わん。

ザイン ……分かりました。近いうちに、我々が事件を解決してさしあげましょう。(一同笑)

ゼンの茶々 それって、なんだか正義の味方みたいだぞ(笑)。

GM 「あの……。どこのどなたか存しませんが、ありがとうございます」

ザイン さてと、これで帰るとするかな(笑)。


監視

 この日、得ることが出来た情報は、このくらい。そして、全員そろったところで、今後どのように行動するか相談する。その結果、やはり一番怪しい船を監視しようということになった。


アーク ということで、今夜から、その船を見張りに行きます。それから、これまで集まった情報を、一応、上に報告しておこう。

GM 上って、マリのことかい? それでは報告した。「なるほど……。それでは、しっかりやりなさい。いい報告を待っていますからね」

アーク はーい。それじゃ、港に行ってみるか。その問題の船の近くにも、いくつも船が泊まっているよな。

GM もちろん。

ボリル その辺りで、日雇いの人夫か何か、募集しているところはないかな。それに紛れて、船の監視をしようと思うんだが。

GM そりゃ、募集してるかも知れないけどね。でも、夜中に作業なんてやらないから、今夜の船の監視の役には立たないと思うぞ。

アーク それじゃ、隣の船にでも、勝手に潜り込むことにしよう。

GM それでは、船に潜り込む時に見咎められたなったかどうか、シーフ技能と敏捷度で判定してもらおうかな。

アーク ええっと、シーフ技能を持っているやつは……ザイン、一緒に来い。他の人は、いてもしょうがないから、帰っていいぞ。

ザイン わかった。

GM それで、判定の方は?

ザイン (ころころ)ありゃりゃ、9しかない(笑)。

GM 船の持ち主に気付かれた。「おらぁ、あんだら、いってーここで、何すてんだ? こら、おらの船だど?」

ザイン あ、すみません。間違えました(笑)。

アーク じゃない。オヤジ、悪いようにはしない。今夜一晩、船を貸せ。

GM 「なぁんに言ってるだ。おら、あすたの朝一番でぇ、隣の港まで、積み荷を運ばねどいげねぇだよ」

アーク だから、今晩だけだ。

GM 「前にも、そう言ったやつに貸すてやたこどさあるだどもぉ、船に色々いだづらさされで、次の日仕事になんなくってよ。えっらい損したことがあるんだよ」

ザイン 何も言わずに、100ガメルを渡す。

GM 「そんただはした金、もらっでもしょうがねぇだよ(笑)」

アーク そうか。それじゃしかたないな。ならば、これでどうだ?(と言いつつ、ナイフを背中から突き付ける) 貸してくれるかな?

GM 「あ、ああ……い、命だけはお助けを〜」

ザイン せっかく、100ガメルやってもいいと言ってたのに(笑)。

アーク 大丈夫だ。明日の朝には、ちゃんと出航出来る。とりあえず今は……さるぐつわをして、甲板の隅にでも転がしておこう。それじゃ、船を一晩借りるぞ。それで、隣の船の監視だ。

ボリルの茶々 まあ、船の係留ロープを切っておけば、勝手に流されていくだろうからな(笑)。

アーク そういうこと(笑)。

GM 「むーっ、むぐ、むぐぐむ……!」
 それでは、そうして隣の船に潜んで、一晩中問題の船を監視していたのだが、今夜は全く動きはない。そのまま、夜明けがやってくる。

ザイン どうする?

アーク 仕方ない。今夜は何も動きはありませんでしたと、正直に報告するしかないな。

ザイン それじゃこのオヤジさんは……どうしよう?

アーク そうだなぁ……とりあえず……そのまま転がしておくか。

ザイン そうだな。そのうち、干からびる前に、誰かに見付けてもらえるだろう。

アーク あっ、でも、俺たちの顔、しっかり見られているんだよな。

GM では、口封じに、ざっくり殺ってしまうかね?

ザイン そこまでのするほどのワルじゃないと思うんだがなぁ。(一同笑)

ゼンの茶々 ワルじゃないって、そのおっさんは被害者で、俺たちの方が悪人なんだってば(笑)。

ザイン そうじゃなくて、ザインは、そこまで非道なことをする悪人じゃないなと言っただけ(笑)。

ボリルの茶々 予定通り、朝一番で出航させておけばいいじゃないか。

アーク それもそうだな。船が流されれば、発見されるにしても、数日かかるだろうからな。それじゃ、船長はそこに転がしたまま、船の引き綱を切って、流してしまおう。


 こうして、何の情報も得ることが出来ずに、アークとザインは戻ってきたのであった。
 このおっさんの船は、ボリルの提案通り、引き綱を切って流してしまう。しかし、顔をしっかり見られているというのに、その場で始末しないとは、まだまだ甘いな。その甘さのツケは、しっかり払ってもらうことにしよう。


ザイン ということで、夜の間の動きはなし。普通の積み荷のふりをして、堂々と積み込みをするつもりかな。

ゼン 昼間なら港もごった返すだろうから、いくらでも監視のやりようはあるさ。

アーク ということで、俺たちは徹夜だったから、これから寝るぞ。昼間の見張りは、ザインとボリルに任せた。

ザイン そうそう。しっかり見張りしてくれよ。

ボリル 仕方無いな。それじゃ、釣りでもしながら、様子を見るか。ゼン、行くぞ。

GM ゼンとボリルの二人は、港にやってきた。そこでは、ちょっとした騒ぎになっている。

ゼン 何かあったの?

GM 明け方、係留されていた船が一隻、引き綱を切断されて流されてしまった。

ゼン 噂になっているわけね。もう少し、詳しく聞いてみよう。

GM それが、港を出てすぐのところの岩礁で座礁しているのを発見。すぐに、甲板でさるぐつわをされて縛られて転がされていた船長が救出された。なんでも、昨夜、怪しい二人組の男にやられたのだそうだ。
 警備隊は、船長の証言を元に手配書を作成、犯人を探している。

ボリル あの二人、ヘマをしたな……。

アークの茶々 こんなに早く発見されるとは思わなかったんだよ。

ボリル それで、その手配書というのは?

GM ああ、ちょっと向こうにも張り出されているよ。いくらか、賞金もかかっていたみたいだな。

ゼン 行ってみよう。どう? 似てる?

GM それは、これからダイスを振って決める。面倒だから、船長さんの証言とか手配書を描いた人の腕前とかの修正をまとめて+3くらいにしておこう。では、ころころっと……。(←オープンダイスで振っています)

一同 おおっ、6ぞろぉっ!?(爆笑)

ザインの茶々 そ、その船長さんって、何者!?

ボリル 趣味で、油絵でもやっていたんじゃないのか。

ゼン え、ええっと……全然、見たことのない顔ですね(笑)。それで、発見したら、どこに知らせろと?

GM 捕らえて警備隊に突き出したら、賞金300ガメル。居場所を突き止めたら賞金100ガメル。

ゼン そういうことなら、一応知らせておきましょう。

GM 警備隊に?(一同笑)

ゼン 違いますって(笑)。手配書を一枚剥がしていって、それで、寝ているアークたちを叩き起こす。ちょっと、アークさん、これ見てください!

アーク ん? ……良く描けてるな、これ。

ゼン 顔を見られたなら、その場で始末したらよかったのに!

アーク 俺はな、一般人には、なるべく手を出さないことにしてるんだよ。それに、これだけ似顔絵が良く描けているなら、うまく変装すれば、かえって見付かりにくいだろう。(←そ、そうかなぁ?)

ボリル とにかくそういうことなんで、外を出歩く時は注意するんだまそれじゃ、港に戻るぞ。


 港に戻って、ボリルとゼンが船の監視を続けていると、やがて荷物の積み込みが始まる。次々運び込まれる大きな箱の中身は、どうやら、野菜などの食糧品のようだ。もちろん、それらに隠して、麻薬の原料も積み込まれているのだろうが、昼間に堂々と積み込みをしているので、怪しむ者もいないだろう。
 そして、そのまま監視を続けて、日没になる。港のあちこちで行われていた荷物の積み下ろしも終わり、港に見える人影もまばらになった頃、アークとザインがやってきた。


アーク 当然、変装をしていく。(ころころ)あれ、10か。ちょっとまずいかな?

ザイン 俺の変装は12。

GM 一応、一般人の知力ボーナスが+2として、その修正を付けて、ばれなかったかどうか判定してみよう。(ころころ)うん、何とかばれずに済んでいるようだ。

アーク それでだ……。この船に荷物を積み込んだ連中の一人を捕まえて、倉庫の場所を吐かせるというのはどうだ?

ボリル あれだけの人数だぞ。どうせ、ほとんどの人間は、単に食料品の積み込みということで雇われただけだろう。もちろん、麻薬原料を積み込むために、何人か関係者が混ざっているだろうが、そいつがうまく見付かるかどうか。

ザイン うーむ……。


 なんとかして、昨日船で運ばれてきた麻薬や、今日積み込まれた麻薬原料について調べたいのだが、手掛かりは全くなし。 昼間、荷物を積み込んでいる間にもっといろいろ動いていれば、もっと色々分かったかもしれないんだが、ゼンとボリルは、ただ船の監視を続けていただけ。それを今更悔やんでも、後の祭りである。
 こうして、しばらくの間、一同、頭を悩ませるのであった。


ザイン 船に火を放てば? 麻薬原料は、それなりに高価な物だろうし、消化に来た連中に見付かるのも困るから、さっさと運び出すんじゃないかな。

ボリル 俺たちが麻薬捜査官だったなら、それでもいいのかも知れないがな。
 残念ながら、俺たちが探しているのは、やつらが麻薬を扱っているという証拠ではなくて、神殿とシーフギルドの麻薬取り引きに乱入してきた、あの男が、この組織から派遣されたという証拠だからな。

アーク 昨日町で噂を聞いた、飲むといきなり筋肉隆々になるという薬が、怪しいんだがな。昨日、この船から下ろされた小箱っていうのが、多分それだと思うんだ。

ゼン 明日、出入りする人間を見ておくというのではどうですかね。

ボリル 意味がないね。既に、状況証拠はある程度そろっているんだ。そうなると、やはり、アークが言っていた薬を何本か手に入れるのが、一番いいと思うんだがな。
 それでなければ、その薬で人間をやめた奴を見付けるか、やめるぞと言っている奴を見付けて監視して、薬を使うところを確認するかだ。

ザイン 行方不明になったという人たちだな。そっちの方の捜索をしてみるか?

アーク やってもいいが、どうせ、この町にはいないだろう。

ゼン そうなると、後は、この船に忍び込んで、色々探ってみるくらいしか手がないんだが……

ボリル シーフが二人とも、顔を見られているというのは、痛いよな。(一同爆笑)

ザイン しかも、精巧な人相書きが出回ってしまっている(笑)。

ゼン 間違いなく、連中は警戒してるよな。

アーク しかし、あんなに精巧な似顔絵が描けるとは……恐るべし、隣の船のオヤジ!(一同書)

ザイン 仕方ない。とりあえず、ボスと相談してみる?

GM 散々相談した結果が、ボスと相談しよう……ね。使えない連中だなぁ、まったく。
 では、君たちのボスのマリ様の意見を仰ぐことにした。
 「やっぱり、船に潜り込むしかないかも知れないわね。昨日、アークが麻薬の受け渡しを見た後に、どこに運び込むかくらい調べておけば、これほど苦労はしなかったかも知れないのに……」

アーク 過ぎたことをいちいちぐちぐちと、うるさいおばさんだなぁ。

GM 「それから、昼間の間に、原料の倉庫の場所を調べるとかしておけば良かったわね。昨日のヘマで、こーんなに精巧な手配書が出回っていたりしなければ……」

アーク だから、これから船を調べればいいんだろ!

GM 「そういうこと。せいぜい、失敗しないように気をつけることね。そうそう、万が一失敗しても、あなたたちは、別組織のスパイだったって事にしておいてあげるから」

ザイン それって、もしかして、切り捨てるってことじゃ……

ゼン もしかしなくても、そうだろう(笑)。

アーク かと言って、ここで逃げるわけにもいかないよな(笑)。分かったよ、俺が行けばいいんだろ、俺が!

ザイン 俺もシーフ技能を持っているけど?

アーク 忍び込むのに二人で行けば、それだけ発見される危険性が増すよ。お前たちは倉庫の影にでも隠れていて、何か異常があったら、援護に駆け付けてきてくれ。

ボリル 援護と言ってもなぁ……暗いところで、マッチョな奴と戦うのは……。おれ、この前の襲撃以来、そういうのが苦手になったから(笑)。

アーク おい、ちょっと待てよ? ひょっとして、あの船には、あの強化人間がいるのか!?

ボリル あれがこの組織から派遣されたなら、いてもおかしくないだろう。

ザイン そうだな。今はいなくても、いざとなったら、薬を飲んで変身するかも知れないし。

ゼン これから忍び込もうっていうのに、みんなして脅してどうするんですか。

ボリル 脅しているんじゃないぞ、アークの心配をしてやっているんだぞ(笑)。

ザイン 優しい心遣いってやつか。(一同笑)

GM あっ、そうだ。それだけの危険を冒すアークに、餞別だと言って、マリさんから100ガメルをあげよう。「それで、酒でも飲んで度胸を付けていくことね。まあ、酔って失敗しない程度にしておいた方がいいと思うけれど」

アーク もらっておきましょう(笑)。


侵入

 場面は再び港へ。ザイン、ゼン、ボリルが倉庫の影から見守る中、アークは密輸船への潜入を試みる。明かりは、ゼンが木の棒の先端にかけたライトの呪文。
 アークは光が洩れないように、それを懐にしまい、係留綱を伝って甲板に上り、足音を殺して、船内へと侵入を試みる。


GM 甲板には見張りはいない。船室に入るための扉は、船の前後に一つずつある。

アーク 前の方から、中を覗いてみる。

GM 通路に明かりはない。だが、左右に並ぶ船室のうちの一つから、明かりが洩れているのが分かる。

アーク 後ろは?

GM こちらも真っ暗。

アーク インフラビジョンがあるけれど。

GM それでも、見張りなどは見当たらない。

アーク よし、ここから侵入だ。

GM 鍵がかかっているけれど。

アーク 仕方無いな。鍵開けをしなきゃならないんだが……がちゃがちゃいうからな。気付かれるかも知れない。

ゼンの茶々 サイレンスでもかけたら?

アーク 俺、シャーマンは1レベルなんだよ(笑)。仕方がない、なるべく音を立てないように、注意して開けよう。(ころころ)よし、完璧! 17だ。

GM おおっ、それだけ成功すれば、音もほとんどしなかったかな。中に入ると、左右に船室が並んでいる。それから、船倉に下りるための階段も見付かる。今のところ、見張りの姿は見当たらない。

アーク 船倉だな。なにがある?

GM 大きな木箱が詰め込まれている。それから、果物の入った篭とかもね。しかし、奥の方から、明らかに野菜や果物とは違う、刺激臭が漂ってくるのに気付く。

アーク それだ。臭いを頼りに、奥へと進む。

GM それらしい箱を見付けた。それから、その近くには上り階段もある。どうやら、船倉には船の前後から下りられるようになっていたようだね。

アーク 一応、階段の方を警戒してから、その箱を調べよう。懐から、ゼンがライトをかけた木の棒を取り出して、良く調べる。まずは、罠がないか調べよう。(ころころ)13。

GM 罠は見当たらない。

アーク 次は、鍵だな。

GM 鍵はないよ。蓋は釘で打ち付けてあるんだから。

アーク こじ開けるしかないな。中が覗けるくらいでいいから。

GM 人型をした、怪しい植物の根のような物がつまっている。

アーク 何だそりゃ? でも、俺はセージ技能なんて持ってないから、さら目で振って(ころころ)7じゃ無理だな。

ゼンの茶々 マンドレイクの知名度は16だからねぇ。

アーク でも、露骨に怪しいってことは分かるだろう(笑)。まあ、怪しい薬の原料らしいが、これだけじゃ、決定的な証拠じゃないし……。

ボリルの茶々 でも、ゴブリン顔の怪しい植物なんだよな。知らない奴が見れば、これは間違いないっていうくらい怪しいんじゃないのかな。

アーク それはそうだな。でも、怪しい薬なら、俺たちのシーフギルドでもいくらでも扱っているし……。まあいい、数本サンプルを持ち帰って……って、こいつら、動いたりしない?

GM 今のところ、動く気配はない。

アーク それじゃ、いきなり噛付かれるとかって事はないだろう。サンプルを数本持って、そそくさと船から脱出します。あとは、これを見せて指示を仰ごう。

GM それでは、知力判定をどうぞ。

アーク 知力判定? 12だけど。

GM 倉庫から出ようとした時、階段の上の方で、人の気配を感じた。

アーク 見回りか!? その辺に隠れて、様子を見る。

GM 足音が近付いてくる。カツ、カツ、カツ、カツ、カツ(だんだん大きくなる)……

アーク (じっと身を潜めている)

GM ……カツ、カツ、カツ、カツ、カツ……(小さくなっていく)。

アーク ふぅっ、行ったか。

ザインの茶々 さすがに、ドップラー効果まではないか。(一同笑)

GM 一体、どんなスピードで見張りをしてるんだ!? そもそも、足音じゃドップラー効果はないんじゃないか?

ザインの茶々 だから、ドップラー効果は無いって言ったじゃない(笑)。

アーク とにかく、見張りが行ったならば、さっさと脱出しよう。

GM オッケー。それでは、アークはボリルたちが待機している倉庫の影まで戻ってきた。

ゼン どうでした?

アーク あからさまに怪しい物体を発見したぞ。これだ。(マンドレイクを見せる)

ゼン それは(セージ技能判定ころころ)何だろう? しかし……怪しすぎるぞ、それは(笑)。とりあず、マリさんに現状報告しに行って、その時に見せよう。


 プレイヤーとしては、マンドレイクなんて珍しくもないが、キャラクターたちは全然知らないのだから、これほど怪しいものはない。きっとなにか特殊な薬に使うのだろうと見当を付けて、上司のマリ=フェルスに報告にもどった。
 しかし、シーフギルドの麻薬部門を束ねるこのおばさんにとっちゃ、珍しくも何ともないわな。


ボリル ……ということで、船に積み込まれた箱の中に、これが一杯詰っていたそうです。

ザイン ところで、これ、何だかわかりますか?

GM 「あなたたち、これが何だか知らないの? これは、マンドレイクという薬草よ。いろいろな薬や毒薬の原料として使われるけれど、それほど大量に使うとなると、きっと、何か変わったものを作っているのね」

ゼン いろいろな薬や毒薬っていうことは、傷とか病気を治す薬から、暗殺用の毒から、いわゆる麻薬まで、何でも出来るということですか?

GM 「加工の仕方にもよるけれど、まあ、そういうことよ」

ザイン そうなると、これだけじゃ何の証拠にもならないわけか。ううむ……。

ゼン もう一度、船で何か探すか?

ザイン 今、船に残っている人たちは、きっと何か知っていると思うんだがなぁ。一人、拉致してくるか?

アーク まだ、夜中だよな。

GM そうだよ。

アーク ……しかたない、もう一度船に忍び込もう。今度は船室を探ってみて、それで何も見付からなければ、拉致作戦に変更だ。


 こうして、アークは再び密輸船に忍び込んだのである。
 さっきは船倉に下りていったが、今度は船室を探ることにする。そして、どうせ調べるならば、下っ端の部屋よりも偉いやつの部屋。
 途中、何度か、巡回している見張りをやり過ごし、鍵を開けて、人のいない大きな部屋に忍び込む。これで、ドアを閉めてしまえば、余程間抜けなことをしない限り、当分発見される心配はない。


アーク それじゃまずは、この船の目的地を示すようなものがないかどうか探すぞ。航海日誌とか、海図とか。

GM シーフ技能で判定してみて。

アーク (ころころ)15だ。

GM では、この地方の海図が見付かる。港を出て、ずーっと沖の方に行くと、小さな島の集まった群島があるようだが、そのうちの一つに、印がついている。

アーク そこが麻薬の精製工場のあるところかな。よし、その海図はゲットだ。それで、その島の地図はない?

GM それは見当たらない。

アーク これ以上ここを探しても無駄か。……やっぱり、一人捕まえて吐かせた方が確実なんだがな。……偉そうな奴を一人、捕まえてみるか。
 まあ、まずは下っ端の奴の部屋も見てみるかな。


 部屋を出て、ちょっと移動。今度はイカニモ下っ端の部屋らしい、狭い部屋にやってきた。鍵を解除し、中に潜り込み、引き出しやら何やらを調べ始める。


GM 日記が見付かる。

アーク それだ。読んでみよう。

GM 「今日、見張りをさぼって昼寝していたら、船長に殴られた」「畜生、ポーカーで70ガメル負けた! 陸に戻ったら、酒場でたかってやる!」「今日も船長に殴られた」「また殴られた。ちょっとさぼっていただけなのに……」

ボリル 殴られてばっかりだな。

ゼン 昨日も殴られた、今日も殴られた。明日もまた殴られるだろう(笑)。

アーク それだけ?

GM 他にも、いろいろ愚痴やら何やら書いてあるけれど。

アーク 役に立たん。他に何かないか? (ころころ)14。

GM 小さな薬瓶が一つ。中には、何か液体が入っている。

アーク もらっておこう。他には何かないか?

GM ええっと……引き出しから80ガメルほど出てきた。

アーク 当然もらう。しかし……今日は、そんなのばかりで稼いでるな(笑)。よし、次で最後だ。さっき、明かりがもれている部屋が一つあっただろう。そこの様子を見てくる。それで、拉致出来そうなら、やってしまおう。

GM 途中見張りに見付からなかったか判定して……(GMとアークはそれぞれダイスの振り合い。どうやら、見付からずに済んだようだ)……ぐるっとまわって、その部屋の前までやってきた。
 ドアの上のプレートには、「船長室」と書かれている。ドアの隙間からは、蝋燭か何かの明かりがもれているが、中で人の起きている気配はしない。

アーク 鍵は?

GM かかっている。

アーク 鍵解除……の前に、聞き耳だな。15。

GM どうやら、明かりを消し忘れたまま、眠ってしまったようだが……。

アーク 鍵を開けて、それからギャロット(絞首紐)を用意する。鍵開けは14。

GM (気付かなかったか判定して)鍵は開いた。気付かれた様子はない。

アーク そのまま忍び寄る。

GM 顔は隠さなくていいのか?

アーク そういえば(笑)。……って、どうせ昼間から変装しっぱなしだから、そのままでいいや。では行くぞっ!

GM 寝ているから、無条件で攻撃成功ということにしよう。紐を首に巻き付けて、ぎゅぎゅぎゅーぅっと。それで、どう判定するんだっけ?

アーク 締め付けの攻撃の達成値を目標にして、そちらの筋力と冒険者レベルの判定で成功すれば、脱出出来る。それまでは、毎ラウンドダメージで、声は上げられない。
 ということで、最初のダメージが8点。

GM はいはい。それで、振りほどきの目標は?

アーク そうだ、それ、決めないとね。(ころころ)あは、あはははは……(笑)。

ゼン なに動揺してるんだよ(笑)。

GM こっちの振りほどきも調子悪くて11だけど、それじゃ楽勝じゃないか(笑)。ギャロットを振りほどき、船長は大声を上げる。「な、何者だ!?」

アーク えっと……って、返事を返している暇は無いな(笑)。すぐに全力で脱出だ。

GM 船長の声を聞いて、船内にいた見張りが集まってくる。君は甲板に飛び出して、その端まで走ってきた。

アーク そのまま飛び下りる。シーフ技能のアクロバットもあるし、このくらい、飛び下りられるだろう。

GM ま、いいか。それでは、君は船から飛び下りた。追い掛けてくる連中は、渡し板を準備したりしなければならないので、すぐに引き離すことが出来るだろう。

ゼン そのまま、ボスのところに報告に戻ろう。

GM 戻ってきた。「どうだった?」

アーク しくじりました(笑)。だが、こういう海図を見付けたぞ。この海図に載っている島を調べれば、何か分かるに違いない。

GM そういうふうに報告するわけだね?

アーク ああ。

GM すると当然、その島を調べてこいという指令が下るんだが(笑)。そこまでの、船とかの手配はしてやろう。
 「わたしは、先にメルギスに戻っているから。今度こそ、失敗しないように」

ザイン 何だか、どんどんヤバイところに追い込まれているような気がする……。

ボリル 最初にあの船が港に入ってきた時に、尾行して、ブツを運び込んだ倉庫か何かを調べておけば良かったのにな。

ザイン やっぱり、あの時、船の親父を始末しておけば、あんな精巧な似顔絵が出回ることもなかったのに。

GM 船長の首を締めた時、あんなに低い目を振らなければ。

アーク なんか今回は、失敗した選択の責任が、ことごとく俺にのしかかってくるような気がする……。(一同笑)


潜入

 次の日。マリがいつの間に手配したのかは知らないが、午後には船の準備が終わり、それに乗り込んで、海図に記された島へ向かうことになった。ちなみに、昨日アークが忍び込んだ密輸船は、朝のうちに出向してしまっている。
 港を出てから半日ばかり。特にトラブルもなく、目的の島が見えてきた。入江の奥に船着き場が設けられ、そこには、例の密輸船が泊まっている。島の中央は小高い丘になっていて、その上に、何かの遺跡のような建物が建っているのが見える。
 ボリルたちは、船を島の裏にまわり、岩場に船を寄せてもらって上陸。船は沖で、合図があるまで待機してもらうことにした。


ボリル 先に着いた連中は、上に見える、あの建物に行ったんだろうな。

ザイン 多分ね。

ゼン そこまでは、見晴らしはいいの?

GM 沖からだと良く見えたけれど、一応、海岸から丘の上までは、林のようになっているから、近付くまでは見付かる心配はないだろう。

ゼン それじゃ、建物が見える辺りまで進もう。

GM 進んだ。多分、元は何かの遺跡なんだろう。一階建の、石造りの建物だよ。

ゼン 建物の周りを見てこよう。出入口の位置とか、窓の位置を調べる。もちろん、林に隠れてね。

GM 出入口は、正面と裏に一つずつ。窓は一つもない。正面と裏ので入口の前には、それぞれ二人ずつ見張りが立っている。

アーク ……殺るしかないかな。

ボリル 声を上げられる前に片付けないと駄目だぞ。

アーク 俺は、ライト・クレイン・クイン・クロスボウを持っている。これで充分狙いを付けて、急所を狙えば、一人は何とかなると思うんだが。(←狙いをつけると、飛び道具の命中率が上がり、クリティカル値が下がります)

ザイン ゼンはソーサラーなんだから、やっぱりスリープ・クラウドだろう。

ゼン そういえばそうだった(笑)。では、スリープクラウドで見張りを眠らせる。抵抗されたら、すかさずクレイン・クインで攻撃でいいかな?

ボリル それしかないな。一応、俺たちもすぐに飛び出せるようにしておくが、失敗したら、さっさと逃げた方がいいかも知れないな。

アーク ちょっと待て、スリープクラウドに気付かれた時点で、不意打ちじゃなくなるから、狙いを付けても無駄にならないか?

GM 直後なら、狙いは有効ということにしてあげよう。

アーク そういうことなら、大丈夫だ。それでは、まずは、クレイン・クインの狙いを付ける。

GM 二人いるけれど、右かね? 左かね?

アーク 左にしておこう。


 気付かれなかったかの判定をこっそりやっていたのだが、どうやら見張りは彼らには気付かない。そして、狙いが充分についたところで、ゼンがスリープクラウドを使った。


ゼン 行くぞ、スリープクラウド! (ころころ)ちょっと低い、11だ。やばいかな?

GM (抵抗して……っと)アークが狙っていた左の奴が寝た。「おい、どうした!?」

アーク どうせなら、右のが寝たらよかったのに。仕方がないから、普通に右の奴を攻撃だ。狙いの修正は全くないが(ころころ)14。

GM 不意打ちということにしてペナルティーを付けて回避して……失敗だ。

アーク よし、後はダメージ次第だ。(ころころ)よーし、クリティカルだ! 合計21ダメージ!

GM ぐさっ! 「ぐっ!?」 どさっ。……その場で倒れた。

ザイン よくやった!

ゼン それではまず、そいつらの懐をあさろう。あ、寝ただけの方は、さるぐつわをして、それからぐるぐる巻きにしてからね。

GM 金目の物は持っていないが、右の奴が、昨日アークが船で見付けたのと同じ、薬の小瓶を持っていた。

ザイン そういえば、その、右の奴の体格は?

GM でかい。

一同 おおっ!?

アーク これは、やっぱり「当たり」かも知れませんねぇ。その薬は回収しておく。いざという時に、使えるかも知れないからな。

ゼン それで、どうする? それが、例の、強化人間を作る薬だったとすれば、この組織があの刺客を送り込んできたということは、ほぼ間違いないっていうことになるぞ。

ザイン どうやって確かめる?

アーク ……左の奴は眠らせただけだったよな。

ゼン もしかして、そいつで実験しようと思ってる? やめといたほうがいいと思うよ。飲ませた途端、ぼこぼこに殺られそう。

アーク そこはそれ、飲ませる前にぼこぼこにして、残り生命力を1くらいにしておけば(笑)。

ゼン わからないぞぉ。飲んだ途端、生命力も回復したりして。

アーク ううむ……。仕方がない、実験はやめだ。ラベルを付けて、持って帰ることにしよう。それで……どうする? これで帰っちゃおうか?

ゼン しかし……それが本当に、強化人間の元なのか、確認したわけじゃないからなぁ。

ザイン ここで帰ってしまって、結局その薬は別の薬でしたなんて事になったら、もう一度忍び込まなきゃならなくなる。それは、かなり面倒だぞ。

アーク 見張りを殺っちゃったからなぁ(笑)。たしかに、これがラストチャンスだよな。……もうちょっと、建物の中を調べてみるか。なにか、もっと別の証拠が見付かるかもしれないんだし。

ザイン そうだな。この薬だけ持って帰って、やっぱり違いましたなんてことになったら、シーフギルドからどういうお仕置きされるか分からんからな(笑)。

ゼン まあ、そういうことなら、建物の中に入ってみますか。


 黙って相談を聞いていたら、結局建物の中に侵入することになってしまった。どうも、今回は、決断した結果、状況が悪い方悪い方へと流れていっているような気がする。この時点で、彼らの今後の運命はほぼ決定されてしまったのである。
 普通のシナリオなら、この後何ヶ所も救済ポイントを用意するところなんだが、「(裏)ソードワールド」の悪人相手なので、やはり厳しくマスターすべし。
 ちなみに、この辺りでザインのプレイヤーがタイムオーバー。(今夜は夜勤だそうだ。ご苦労さま) 以後、ザインは、他プレイヤーのコントロール下に入るが、戦闘中とかは雰囲気が出るように、ザインの台詞で書くことにする。


GM 中に侵入すると、すぐにT字路。

ボリル そこまで行くと?

GM 左は、ちょっと先で右に曲がる。右は、ちょっと先で左に曲がる。それぞれ、途中に1つずつドアがついている。

アーク ……やっぱり、引き返そうか?

ゼン よく考えると、昨日船の中で見付けた薬を、ちゃんと鑑定すれば良かったのでは? さっき見付けた薬と、どうせ同じ種類だろうし。

ボリル そういえば(笑)。

アーク そういうことは、昨日のうちに言ってくれ!(一同笑)

GM それで、引き返すのかい? それとも、探索を続けるのかい?

アーク 入っちゃったものは仕方無いな。このまま続けよう。まずは、右と左の曲がった先がどうなっているかを調べよう。

GM 右の通路は、曲がってすぐに下り階段。左の通路の曲がった先を覗いてみると、しばらく真っ直ぐな通路が続いた後、右に折れている。途中には、いくつかドアが見える。
 それで、知力判定をしてみて。

アーク (ころころ)15。

GM その角の辺りに人の気配がしたので、首を引っ込めた。どうやら、見張りが巡回しているようだね。

ゼン 見張りまでいるのか。とにかく、そっちの通路は危ないかな。

ボリル ということは、階段か。

アーク 下りましょう。

GM 階段を下りきったところで扉。

アーク 聞き耳をして、怪しいところがなければ鍵を開けて中に入る。

GM 聞き耳しなくても、扉の奥からは、いくつもの呻き声のようなものや、なにかをガンガンやっている音が聞こえてくる。鍵は掛かっていない。

ゼン 呻き声? 開けてみよう。

GM 大きな部屋だ。10に区切られた牢屋があって、その中には、マッチョな人間が、一人ずつ閉じ込められている。

一同 おおっ!

ゼン その兄貴たちは、どういった感じ?

GM どう見ても、まともな精神状態じゃない。目がうつろな奴。しじゅうよだれを垂らしている奴。牢から出ようと暴れる奴。などなど。

ゼン 普通のマッチョ? それとも、異常なマッチョ?

GM 今のところは普通。

ボリル なにか言ってないか?

GM 「く、薬をくれ……」「よこせーっ!」

ゼン さっきの薬、こいつらで試す? ……って、それで騒ぎ出されたら困るか。魔法で音が消せるならともかく。

アーク まだまだ、そんな魔法は使えませーん。

GM 「薬」と言ったな? その途端、檻の中の全員が、一斉に、鉄格子にしがみついて口々に叫び始める。「薬、薬だぁ!」「うがーっ! 薬をよこせ!」「ガンガンガン! 俺だ、俺にくれ!」「うおおーぉぉぉぉぉっ!」「早くしろーっ!」

ゼン あわわっ!? とりあえず、扉を閉める!

GM 閉めても、けっこう音は洩れてくるよ。(と言いつつ、見張りがこの騒ぎに気付いたかどうかの判定を振っている)

アーク あいつらを見付けたから、もういいと思うんだが。あれにこの薬を与えたのが、れいの強化人間だに、ほぼ間違いない。

ボリル そうだな。あとは帰って、その薬が本当にそういう薬だということを確認して、その後の処理は、シーフギルドやファラリス神殿が何とかするだろう。

ゼン それでは、撤退ですね。

GM GM ところが、そう簡単には脱出出来ないんだな。さっきの騒ぎは、見張りの耳に届いていた。それで、一応様子を見てみようとやってきた見張一人と、階段を上がってすぐの通路で鉢合わせする。「な、何だきさまらは!?」

アーク や、やあ(笑)。

ゼン スリープクラウド。(ころころ)ありゃ、10しかない。

GM 抵抗。「侵入者だーっ!」

アーク 強行突破しか無いな。おい、ボリル、出番だぞ!


 戦士の出番になった途端に、ザイン(ダイスを振っていたのはゼン)、ボリルの攻撃が命中し、見張りは逃走。その背中に向けて、アークがダーツを投げる。ダメージは1しか通らなかったが、これにはダーク・ブレードの毒が塗ってあったのだ。毒のダメージで見張りは気絶。
 しかし、すでに、もう一人の見張りが、通路の向こうに姿を表した。


GM 新手の見張りは、君たちの前で見張りがやられているのを見て、懐から小瓶を取り出し、仲の液体を飲み干す。

アーク それで、人間を辞めるって?

GM 筋肉が急激に発達し、体も一回り大きくなる。着ていたソフトレザーが弾け飛ぶ。そして、この前襲撃に来たような強化人間の出来上がりだ。「ぐうぉーおっ!」

ゼン ええっと、今の位置関係は!?

GM 君たちは、階段を上りきったところ。その通路の反対の端に強化人間。その丁度中間に、裏口への通路。
 そして、強化人間は君たちに向かって突っ込んでくる。
 他の見張りも数人やってきたが、巻き込まれるのが嫌なのか、それとも上司に知らせに行くのか、すぐに散る。

アーク 鎧が弾け飛んだってことは、着ていないってことだな。よし、ここはやっぱり毒の出番だ。ダーツを投げるぞ。(ころころ)よし、17なら当たるだろう。

GM 命中。ダメージをおくれ。

アーク 6点。

GM ダメージ自体はたいしたことない。毒への抵抗も(ころころ)ドーピングで生命力も増強されているから、余裕だな。

アーク 駄目か。仕方がない、ボリル、ザイン、頼んだぞ。俺は後ろで、クレイン・クイン・クロスボウを取り出して、巻き巻きしてるから(笑)。

ゼン スリープクラウドが効けばいいんだけど……

GM おまけで教えてあげるけど、薬の効果で、スリープクラウドとかの精神に影響を与える呪文は効果なし。でも、精神力に対する攻撃は有効だ。

アーク そういえば……暗黒魔法に、メンタルアタックだか何だかっていう呪文がなかったっけ?

ボリル そういえばそういうのもあった。ええっと(ルールブックを見て)消費した精神力の二倍、相手の精神力を減らせるのか。こいつが相手なら、それで一気に勝負を付けた方が良さそうだな。


 ザインが攻撃を引き受け、ボリルがその隙にメンタルアタックをかけるという作戦で、こちらも強化人間に向かって突っ込んで行き、次のラウンドで接近戦闘に突入。アークはクレイン・クインの巻き上げ中、ゼンは、この後の戦闘に備えて、精神力を温存することにした(「見ているだけ」とも言う)。


GM 行くぞ、ザインに攻撃16!

ザイン 駄目。こいつのダメージでかいから、嫌だなぁ……。

GM ダメージが11。

ザイン おっ、10点止めたぞ。あまり痛くないや(笑)。

ボリル こっちの攻撃だ! (ころころ)あれれ、10点もらった(笑)。(←1ゾロね)

ザイン 俺の反撃は(ころころ)15。

GM 命中。

ザイン そういえば、どうせボリルが呪文をかけるまで頑張ればいいから、パリーでも良かったのか。まあ、次のラウンドからはそうしよう。ダメージは11。

GM 鎧がないから、防御はレート0。結構効くなぁ(笑)。それで、次のラウンドだ。特殊能力発動! 体から放電する。

ボリル 自爆だけじゃなくて、そんなのまで持っているのか。

GM (ころころ)ザインとボリルは、目標値11で呪文に抵抗して。

ボリル 抵抗。

ザイン 俺も。

GM では、9ダメージね。冒険者レベルを引いていい。

ボリル 結構痛い。やっぱり早めに片付けないと。(ころころ)よし、今度は当たっただろう!

GM 運が悪いね。こっちが6ゾロでよけたよ。


 次のラウンド。ボリルの接触はやはり失敗。なかなかメンタルアタックを使う機会がない。それどころか、強化人間の攻撃をくらって、手痛いダメージを受ける。
 しかし次のラウンド。ようやくボリルは相手の体に接触することが出来た。そして、メンタルアタックの呪文を発動!


ボリル よーし、一気に片を付けるぞ。メンタルアタック10倍消費、達成値は15!(←「完全版」ルールは一部しか採用してないので、呪文の拡大制限はありません)

一同 おおーっ!

アーク これで精神点に20ダメージ。さすがに片付いただろう(笑)。

GM ええっと……残念、まだほんのちょっと残っている。これも、あの薬のおかげ(笑)。

ボリル 何だって? あれだけ疲れたのに、効いてないのか。

ゼン 大丈夫、まだまだ精神点は余っているんだろ? あと4、5点使ってもう一度かけてやれば、さすがに倒れると思うよ。

ボリル でも、一撃必殺のつもりで使ったのに駄目だったとは、ショック大きいぞ。それに、次も呪文がうまくかかるとは限らないしな。

アーク ボリルの精神力がなくなっても、ザインがまだ使えるから大丈夫だ。頑張れ!
 それで、次のラウンドだな。クレイン・クインの巻き上げ完了。発射! ダメージが11。

GM ぐさっと刺さって……で、こいつの番か。今ので怒ってアークを殴りに行きたいが、後ろにいるんだよな。仕方ないから、さっき呪文をかけてくれたボリルを攻撃、命中したら10ダメージ。

ボリル いてて……。もう一回メンタルアタック……は、1ゾロで触れなかった。

ザイン こっちもメンタルアタックに切り替え。(ころころ)ありゃりゃ、9じゃ無理か。

GM (ころころ)おおっ、1ゾロで当たっている。

ザイン よーし! 次が問題、呪文の発動だ。5点消費で(ころころ)ああっ、今度は11。まずいかも……

GM (ころころ)あっ、一つ足りない!? 精神に10ダメージで、今度こそ、精神点が0になる。

一同 よーっし!

アーク これで、ようやく気絶……

GM 精神点が0になったから……残り生命点全部つぎこんで、自爆。

一同 なんじゃそりゃぁ!?(爆笑)

アーク なぜそうなる!?

GM 生命点が0になったら、残り精神点全てを注ぎ込んで自爆。精神点が0になったら、残り生命点全てを注ぎ込んで自爆ということになっている。

ゼン 結局のところ、どういうふうに倒しても自爆ってことね(笑)。

GM 残りが余りに少ないと、威力が落ちたりもするんだけどね。今回は、まだまだ生命力が余っていたから、最初と同じく、レート30だな。

ボリル 両方、均等に減らしておかなくちゃならなかったのか(笑)。

GM 半径10メートルだから……全員巻き込まれる。目標は(ころころ)11で抵抗して。

アーク よし、何とか成功!

ゼン こっちも何とか。ザインも成功。

ボリル 俺も大丈夫だ。

GM 全員レート20のダメージか。(ころころ)6ダメージ。

ゼン それを、鎧と冒険者レベルで防げるんだよな。最初の奴と違って、えらくダメージが小さいぞ(笑)。ソフトレザーでも、受けたのは1ダメージ。

アーク よし、このまま一気に裏口から脱出するぞ!

GM 裏口に回った。しかし、時、既に遅し。裏口はすっかり囲まれていたのであった。


投降

ゼン やっぱり遅かった?

アーク 表口の方は……当然、囲まれているだろうな。となると、地下室が最後の望みか。

ゼン 仕方ないですね。あいつらに、この薬を飲ませて、騒ぎになったところに乗じて脱出を計る。

GM 「大人しくしろ。抵抗しないならば、命までは奪わん。特にそこのドワーフ」(一同笑)

ボリル そう言われて、抵抗しない奴、いないってば(笑)。

GM では、地下室に下りてきた。「薬をくれーっ! ガンガンガンガン……」

アーク その辺に、牢の鍵がかかっていたりしない?

GM あるよ。

アーク よし。薬は、表にいる連中からもらえるぞ。

GM 「ここから出せーっ!」「薬をくれーっ!」「うをーおぉぉぉぉっ!」「ガンガンガンガン!」

ボリル ……おい、本当に、こいつらを解放するか?

ゼン 他に手はないと思うけど……ヤバそうだな。

GM 「薬をよこせーっ!」「飲ませろーっ!」「ぐがあぁっ!」

アーク だから、薬は表の連中が持ってる。

GM 「よこせーっ!」「薬飲ませろーっ!」「出せーっ! よこせーっ!」

ボリル 俺たちも、何本か持っていたよな。

ゼン 2本だ。

ボリル 出来るだけ、表の連中を引き寄せて、それからこいつらを檻から出して、薬を飲ませて突っ込んでもらう、というのはどうだ?

ゼン その場合、檻を開けなくちゃならないんだけど……大丈夫かな? いきなり暴れ出したらどうする?

アーク こっちは4人いるんだ。何とかなるだろう。巻き込まれるのは、表の連中も同じだし。

ボリル だから、追っ手が近付いてきたら、ドアのところに薬の瓶を置く。それから、檻を開けて解放してやれば、それを飲みに行くだろう。そしたら、一緒に追っ手をやっつけて脱出だ。

GM いいんだな? それで、本当にいいんだな? それじゃ、実行するぞ?

ゼン いうことを聞いてくれそうなやつは?

GM そんなもん、いない。

アーク それに、いくら強化人間でも、あの人数差はどうしようもないと思うぞ。出来れば、檻の中の全員そ解放して、その代わりに味方になってくれるといいんだが……。
 だから、手元の薬は、二人選んで、そいつらにやってしまう。それから、檻を全部解放する。

ゼン やめた方がいいと思うぞ……。麻薬中毒患者を放すのは。

アーク でも、俺たちが持っている薬はその2本だって分かれば、あとは外の連中を襲うんじゃないかな。

ゼン そこまで、正常な判断力が残っているといいんだけど……。

アーク それじゃ、追っ手がやってきたら、薬瓶をそいつらの中に投げ込む。同時に檻を開け放つ。そうすれば、檻の中の連中は、追っ手に向かっていくだろう。

ゼン なるほど!

ボリル それ、やってみるか。それで、檻は全部でいくつだ?

GM 10。……って、良くみたら、この檻二つ、開かないじゃないか。8つだったことにしよう。(一同笑)


 こうなってました。(* のついた二ヶ所が開けられない(笑))

         +---+---+---+---+
         | * |   |   |   |
         +---+---+---+---+
         |   |           |
         +---+            ##### → 階段
         |   |           |
         +---+---+---+---+
         | * |   |   |   |
         +---+---+---+---+

アーク 俺たちは4人しかいないから、一度に8人は無理だな。まず、薬を二本投げて、二人を解放する。その後、順番に解放するしかないな。

GM 相談をしていると、地下室のドアがドカンドカンと殴られる。「お前たち、降伏するなら今のうちだぞ! 馬鹿な考えはよせ!」

ボリル 馬鹿な考えだというのか? だったら、俺たちが馬鹿な考えをおこす前に、お前ら、退け。去れ。

GM 「そいつらを解き放つつもりだろうが、どうなっても知らんぞ!」

ボリル お前たちだって、どうなるか分からないんだ。

GM 「それはどうかな。どうにかなるのはお前たちだけだと思うが。とにかく、います愚降伏するなら、命は助けてやる」

ゼン あんなの、はったりはったり(笑)。

アーク ……そうだ、もう一つ手があった。

ボリル 何だ?

アーク この薬を、俺たちが飲むという手だ。

一同 ……。

ゼン 俺、それを飲むくらいなら、自害する。

GM ボリル辺りはどう? 身長はちょっと足りないが、筋力に関しては、素質十分だしさ。(一同笑)
 二本あるから、もう一本はくじ引きにでもして、二人で暴れれば、残り二人くらいは脱出出来るかもよ。

ボリル あのなぁ……三分しかもたないうえに、最後は自爆だぞ、自爆。

GM 三分しかもたないなんて、誰も言ってないぞ。それに、自爆しても、単に生命点と精神点が0になるだけだし(笑)。

アーク でも、それで無事とは思えないからな。やっぱり無茶か。それじゃやっぱり、さっき言った作戦で行く。

GM それじゃ最後に確認するけど、どういう手順でやるって。

ゼン ドアを開ける。敵が雪崩込んできたら、そいつらに薬瓶を投げ込んで、同時に檻を開ける。

アーク まてよ、それだと、強化されていないまま連中のところに突っ込むのか。それじゃ意味がない。最初に解放する奴には、あらかじめ薬をやっておこう。後は、その手順でいい。

ボリル そういうところだな。

GM それでいいな、やるぞ?

一同 ああ。

アーク それでは、適当に一人選んで、薬を飲ませる。

GM 飲んだ。「ウグォヲガァーッ!」 みるみるうちに強化人間に変身。鉄格子をつかんで力を入れると、さすがに曲がったり壊れたりはしないが、みしみしという音がする。

アーク よし、解放だ。ドアの方も、同時に開けるぞ!

GM 強化人間は飛び出してきて、ドアの向こうの連中は部屋に雪崩込んでくる。強化人間は暴れようとするが、君たちを掴まえようとしている、隊長は落ち着いたものだ。
 「まったく、馬鹿な真似をしたものだ。おい、強化人間28号、そいつらを捕獲しろ。そうしたら、後でもっと薬をやろう」「うをぉお」

ゼン げげっ、やっぱり失敗? これは逃げられそうにないから、大人しくした方がよさそう。生きていれば、そのうち何かの機会もあるさ。

アーク どういう機会だよ。

ゼン たとえば、この島から本土の方に護送される途中、大嵐が来て、船は沈んだが、俺たちは偶然どこかの海岸に流れ着いて助かるとか(笑)。

ボリル そんなご都合主義な……。

アーク そもそも、何で後ろのあのヤク中が、言うことを聞くんだよ。薬には反応しても、正常は判断力なんてないんだろ?

GM そりゃ、まともな判断力はなくなってるけれど、簡単な命令くらいは聞くさ。完全に判断力がないんだったら、最初に倉庫街で麻薬取引現場が襲撃された時、目的の倉庫につく前に、そこら辺で暴れているってば。
 そもそも、完全に判断力を失った強化人間なんて、作ってもあまり役に立たないぞ。

ゼン それに、毎日少しずつ薬を与えて調教していたりしたら、やつらの言うことだけは聞きそうな気もする。

アーク な、なるほど。言われてみれば。しかし、判断力が残っているなら……おまえら、こんなやつらの言いなりになるより、俺たちに従えば、薬はもっと好きなだけやるぞ!

ボリル 全然説得力ないってば(笑)。俺は、正面突破を試みるぞ。

ゼン ちょっと、この人数じゃ無理ですよ。

GM 突破する人、手を挙げて。

ボリル おおっ。

GM 降伏する人は?

ゼン はーい。

アーク 俺も、武器を捨てよう。

GM ザインは……プレイヤーがいないから、降伏させておこう。ということで、ボリル一人、突破を試みるのか。

ゼン ボリルさん、それじゃ確実に殺られちゃいますよ。命さえあれば、まだ見込みは……

ボリル 俺は、捕まって、薬の実験材料になって、あんな連中のようになるくらいなら、この場で死を選ぶ! 行くぞっ!

GM 「愚かな……。やむをえん……やれ」
 強化人間が「うごぐぐゎあーっ!」っとボリルに襲いかかってくる。とりあえず、素手でなぐるしかないんだが……攻撃は16。

ボリル 回避失敗。

GM ダメージは9。

ボリル 気絶だ。さっきの戦闘のダメージ、呪文で治しておけば良かったかな。

GM 気絶したなら、そのまま捕り押さえよう。

ゼン 結局、全員捕まったのか。抵抗してもしなくても、同じ結果だったな(笑)。

GM 結果が同じとは限らないぞ。「そこでのびている威勢のいい奴は、そこの牢にぶち込んでおけ。残り三人は、上の牢だ」といわれて、ぶち込まれる先も違うことだし。
 そして、上の牢に放り込まれた三人は、尋問を受ける。「お前ら、どこの組織の者だ?」

アーク どこの組織にも所属していない。ただの、金で雇われたシーフだ。

GM 「ほう……。では、どこの組織に雇われた?」

アーク それは…………

GM 「それは?」

アーク ……そんなことも分からないのか? だいたい見当は付いているのだろう?

GM 「いいや、わからんな。お前の口から、教えて欲しい」

ゼン アークさん、いくらはったりをかましても、無駄だと思いますよ。下手をしたら、拷問されるだけ損だ。

アーク それもそうだな。それじゃ、正直に話そう。だいたい見当は付いているだろうが、俺たちは、メルギスのシーフギルドと、ファラリス神殿の者だ。

GM 「なるほど。この前、強化人間を一人送り込んだところろか。これまでは、ばれないようにやっていたのだが……。メルギスには、優秀な人材がそろっているようだな」

ボリルの茶々 「では、今度は、お前が強化人間になって行くのだ」とか。

アーク ひえ〜ぇ、それだけはやめて(笑)。

GM そんなことは言わないよ。「お前たちが帰らなければ、この前刺客を送ったのが我々だと言うことは、ほぼ間違いないということになってしまうな」

ゼン 多分、そうなりますね。

GM 「お前たちが、これからは、我々のために働くというのならば、このまま生かして帰してやってもいい。ただし、地下の奴は別だが(笑)」

アーク つまり、内通者としてとして使われるわけですか?

GM そういうことだね。
 もちろん、君たちを帰しても、怪しまれることには代わりない。でも、こちらもメルギスと全面対決するつもりはない。例えば、メルギスのシーフギルドには薬を安く納入する。ファラリス神殿からは麻薬原料を買い入れる。ついでに、対立組織との抗争の時には、この組織の強化人間を貸し出すとかいう形で、協定が結ばれるかもしれない。
 君たちを返すということは、その時までの、一時休戦願いという意味もある。

ゼン 他に、助かる道はなさそうですね。

アーク 仕方がない。あんたたちに力を貸すことにしよう。

GM では、今回の調査の結果は、例えば、この組織と対立する組織が、反抗をこの組織の仕業だと見せ掛けるために画策していたとか、適当にいいつくろっておいてくれ。
 少々怪しまれても構わない。どうせ近いうちに、こちらの組織から幹部を派遣して、協定が結べない稼働か協議しに行くから。ま、いきなり攻めこまれないようにしてくれればいいんだ。


 こうして、抵抗せずに大人しく捕まった三人は、船で帰されたのであった。もちろん、裏切った場合にはすぐに処分出来るように、三人には監視が付けられている。
 彼らは、数日後にはメルギスに帰還。言われた通りの報告を行った。もちろん、何か裏がありそうな報告だということはバレているが、今のところ、特に処罰はされていない。噂では、数日中に例の組織とメルギスのファラリス神殿、シーフギルドの三者間で、やはり協定が結ばれるという話だ。


GM それで、地下牢にぶち込まれたボリルなんだが……それだけの筋力だ。新薬の実験材料になってもらうよ。

ボリル それは、注射か何かか?

GM いいや、飲み薬だ。毎日食事に少しずつ混ぜて与えられる。

ボリル それなら、水も飲まない、飯も食わん。

GM 餓死するぞ。

ボリル その方がマシだ。

GM なかなか潔いな。

アークの茶々 その心意気が認められて、実験材料ではなくて、仲間として迎えられるとか。

ゼンの茶々 でも、あの組織じゃなぁ。せいぜい、自害の権利を認められるくらいかも(笑)。

GM ということで、こんなところで、今回のセッションは終りかな。

ゼン そうだと思うけれど……これ、失敗じゃないのかなぁ?

GM 失敗に決まってるだろう。だから、経験点は500点ずつしかあげないからね。

ゼン やっぱりそうか(笑)。

Sword World Dark Side Replay
Played by “CRITICAL HIT!!

暇人の統計

No.名前 台詞数 (%)
1 GM 250 ( 34.1 )
2 アーク 189 ( 25.7 )
3 ゼン 126 ( 17.2 )
4 ボリル 87 ( 11.9 )
5 ザイン 60 ( 8.2 )
6 シャカ 12 ( 1.6 )
7 一同 10 ( 1.4 )
 合計 734  

 いやぁ、見事に失敗しましたねぇ。今回は、決断したところがすべて裏目に出て、ミッション失敗への坂道をゴロゴロと転がっていくようで、ある意味気持ち良いくらいでした。
 失敗のいくつかををあげてみると……

1. 倉庫での強化人間との先頭シーン

 シャカ、いきなり大怪我したんだから、おとなしく観戦モードに徹していればいいものを……。やはり責任感があるのか戦闘に参加。強化人間の最後の抵抗の自爆攻撃で、あえなく死亡。
 いや、ここでクリティカルしたのもまずいんですけどね……

2. 最初の聞き込み

 アーク、麻薬やその原料の取り引きの打合せの場面を見つけたんだから、そのままちゃんと尾行しろよ。うまくいけば、ここで倉庫の場所が分かり、さっさと証拠を掴んでメルギスに戻ることもできた。(それでも、倉庫の見張りの強化人間との戦闘くらいはあったけど)

3. アークとザインの精密な似顔絵

 「裏」ソードワールドの悪人らしく、船長をザックリ殺ってしまっておけばいいものを……。

4. 密輸船への潜入

 慎重に事を進めすぎましたね。アークが神経をすり減らして頑張ったわりには、あまり収穫はありませんでした。
 力押しで数人捕らえて、拷問するのでも良かったのに。少々騒いでも、夜中の港に人なんていないよ。(もちろん、相手の人数を把握しておく必要はあるが、アークが忍び込んで調べればそれでいいし)

5. 島にて

 引き返す機会は、何度となくありました。しかし、もう少しもう少しと進むうちに、すっかり逃げ場がなくなってしまいました。
 最後に、誰かが薬を飲んで暴れたら、なんとか救済してやろうと決めていたのですが、それもみんな嫌がって(当たり前だな)、結局全員捕らえられるという事になったのでした。

 ま、たまにゃミッション失敗のリプレイというのもいいでしょう。

リプレイ&GM
by うさうさ

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